キルタイムコミュニケーション ・ アンリアルコミックス ・ シリーズ「ドロップアウト【単行本】」
認定証 No. 0194
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加害の理由を、人物ではなく世界の側に置く手がある。『ドロップアウト』はその設計で殿堂に立つ。
表題作の舞台は、成績が人の値打ちを決める学園である。落伍した女子生徒は性の処理に配され、上位の生徒に宛がわれる。学園一の才媛が自らその位置に降り、平凡な後輩が飼い主に決まる。なぜ降りたのかは、最後まで言葉で説明されない。
制度がすでに決めているので、誰も悪意を弁明しなくてよい。そのぶん煌野一人の筆は肉と液体だけに向かう。表情が崩れ切った場面でも造形の芯は残り、どこで何が起きているかは常に読める。同じ本には人外や寄生生物に犯される短編が並び、学園から西部劇、近未来、異世界までを行き来する。毛色の違う9編を1冊に束ねた構えの大きさを、読者は繰り返し指摘している。堕とされるのではなく自ら降りるヒロインの珍しさも、複数の読み手が同じ場所で立ち止まって書いている。
『コミックアンリアル』とアンソロジーに載った短編を集めた、初の単行本である。作者の最も早い時期の作品もそのまま収められた。以後この作家は本を重ね、人外と制度をめぐる仕事を続けている。
2014年の刊行。2年後に2話のアダルトアニメが作られ、公式の翻訳版は英語・簡体中文・繁体中文・韓国語ほかで出ている。商業の殿堂では第5位にある。
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